障害者差別解消法(しょうがいしゃさべつかいしょうほう)
Q1. 障害者差別解消法とはどのような法律ですか。
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障害者差別解消法は、障害を理由とする不当な差別的取り扱いを禁止し、過重な負担にならない限り、障害者に対する合理的配慮の不提供を禁止する法律です(2016年施行)。2021年に法改正され、民間事業者の合理的配慮提供義務は、法的義務化されました(2024年までに施行)。
大阪府の事業者は、条例により、合理的配慮の提供が法的義務となっています(大阪府障がい者差別解消条例・2021年改正施行)。
Q2. どのようなことが障害者に対する不当な差別的取扱いになりますか。
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正当な理由のない差別的取扱いが不当な差別的取扱いとされます。具体的には、以下の例が考えられます。
・ツアー旅行を申し込んだところ、障害者であることを理由に拒否すること
・マンションを借りるときに、障害者であることを理由に契約を拒否すること
・行政機関の窓口で、本人を無視して、介助者だけに話しかけること
Q3. 障害者に対する合理的配慮とは、どのようなものですか。
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合理的配慮は、障害者が社会的障壁(困っていること)の除去を求めた場合に、過重な負担にならない限り、困っていることを解消できるように配慮することです。
行政、事業者にとって過重な負担となる場合は合理的配慮とはいえませんが、過重な負担となる場合であっても、代替案を示して説明し、意見交換をするなど、建設的な対話が求められています。
合理的配慮の具体例についは以下のようなものがありますが、内閣府のホームページにおいて、具体例データ集が公開されていますので、参考にしてください。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/
・車いすの利用者のために段差に携帯のスロープを渡す、高いところに陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮を行うこと
・筆談、読み上げ手話などによって、分かりやすい表現を使って説明するなどの意思疎通の配慮を行うこと
・障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更を行うこと
Q4. 障害者に対する不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供をすれば、罰則はあるのですか。
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現在、障害者に対する不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供があっても、罰則はありません。ただし、法的な義務であることから、事例によっては、民事的な損害賠償請求は可能な場合があります。
Q5. 障害を理由とする差別をされたと感じたとき、合理的配慮を求めたのに応じてもらえないときには、どこに相談にいけばいいですか。
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弁護士業務・法律事務所における障害者差別解消対応ガイドライン
障害者差別解消法(2016年施行)は、国・自治体や民間事業者(弁護士も対象)に対し、障がいを理由とする不当な差別的取扱を禁止(7条1項、8条1項)するとともに、障がい者にとっての「社会的障壁」の除去へ向けての「合理的な配慮」の提供を求めています。
この合理的配慮の提供は、これまで民間事業者に対しては努力義務とされていましたが、今般、大阪府差別解消条例の改正(2021年4月1日施行)により、府下の事業者に関して、努力義務から法的義務に変更されました。
また、国レベルでも、これを法的義務とする障害者差別解消法の改正があり、公布の日(2021年6月4日公布)から3年を超えない範囲内で施行される予定です。
このように、合理的配慮の提供は、私たち弁護士も含む全事業者にとっても、その実施が「均衡を失する過重な負担」とならない範囲で、法的義務となります。
こうした法令改正に伴い、当会の「弁護士業務・法律事務所における障害者差別解消対応ガイドライン」の内容も変更されておりますので、ここに掲載してお知らせする次第です。
弁護士業務・法律事務所における障害者差別解消対応ガイドライン