提供できる法的サービス
条例制定立案の支援や、首長との利害相反を避け議会事務局独自の機能を高める支援を行う担当弁護士を紹介・推薦します。
条例制定支援の例:大阪府内のある市での自治基本条例の場合
- (1)条例制定の経緯
2000年(平成12年)に地方分権一括推進法が施行されたことで、国と地方が対応協力の関係になり、地方も自ら考えて行うという独自性、自立性を持つこととなりました。そういった中、大阪府内にある市は2002年(平成14年)に地方自治法上の「特例市」となり、それまで府で扱われていた事務の一部が同市の責任で行われることになり、市の果たすべき役割が大きくなってきました。
他方、同市は第3次総合計画において「市民自治都市の実現」を掲げていましたが、このような取組みは確立されたものではなく体系化もされていませんでした。そこで、今後、市がどのような考えでどのようなまちづくりを行っていくか、市民が市政に参画する基本的な考えや情報共有・協働のルールを、市の実情、特色に即して独自に定め共通の指針とする条例を定めることが必要となりました。
- (2)自治基本条例策定委員会委員としての活動
同市は、条例の制定にあたり、行政主導ではなく「自治基本条例策定委員会」を設け、市民委員が中心になって、一から条例案作りを行う方法を採用しました。しかし、条例の制定にあたっては学識経験者の知見が必要です。そこで、当弁護士会に推薦依頼が寄せられ、当会から弁護士1名が派遣されることになりました(他の学識委員として大学教授の方、元新聞記者の方等がいらっしゃいました)。
同委員会は、今の市政に欠けているものは何か、教育、情報公開等をテーマに課題を出しつつ、他団体の先行事例(北海道ニセコ町等)も参考に議論して条例素案を詰め、その過程で専門的な素案をまとめた上、同委員会から学識経験者委員、市民委員代表3人、同市企画課、総務管財課の法規担当を加えて「条例精査チーム」を作り、最終的な規定内容や表現の精査、法的なチェック等を行うとともに再度検討を重ね修正を行いました。
こうして同委員会は市長に条例案を報告し、この案をもとにした条例が同市の議会で可決され、施行されました。なお、条例制定後も、前記の弁護士が同委員会委員として下位条例・規則案の制定、条例の見直し提言等を行っています。
- (3)条例制定を検討されている自治体の皆様へ
このように、弁護士は各自治体の行政ニーズに適切に応え、条例制定に際して必要な知識をご提 供したり調査を行ったりすることができますので、条例制定にあたって法律専門家の知識を必要と されている自治体の皆様はどうぞご連絡下さい。
- ※自治基本条例の制定状況
(NPO法人公共政策研究所まとめ:http://koukyou-seisaku.com/policy3.html )による。平成30年10月1日までに全国371団体で制定。大阪府内では、岸和田市(H17)、池田市、大東市(以上H18)、吹田市、豊中市、柏原市(以上H19)、寝屋川市(H20)、阪南市(H21)、大阪狭山市(H22)、島本町、和泉市(以上H23)、泉南市(H24)、門真市、河南町(以上、H26)の14団体で制定。