LGBTsに関するQ&A

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私は、レズビアンで、パートナーと20年間一緒に暮らしています。この間、不動産を購入し、また預貯金もある程度の金額になりました。すべて私の名義なのですが、私が死んだ後にパートナーにそれを譲るにはどうすればいいですか。

公正証書遺言など民法が規定する遺言を作成するなどの方法により、死後、財産をパートナーに遺贈することができます。ただし、パートナーは相続人ではないので、遺言がなければ、同性パートナーは財産を譲り受けることができません。また、親族から遺留分侵害額請求を受けることがあります。

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  • 同性パートナーは相続人ではない
     相続人の範囲は民法により定められており、法律上の配偶者は当然に相続人になりますが、現時点では、同性パートナーは法律上の配偶者にはなれませんので相続人ではありません。
  • 遺言書による遺贈
     自筆証書遺言は、自分一人で作ることができ、費用もかからず手軽です。ただし、その様式は法律で厳格に定められており、誤りがあると有効な遺言書とは認められません。また自筆証書遺言は、遺言をした人の死後、家庭裁判所で検認という手続きを経なければ、有効な遺言として取り扱うこともできません(もっとも、2020年7月10日から始まった法務局に自筆証書遺言書を保管する制度を利用すれば、家庭裁判所での検認は不要となりました。)。
     自筆証書遺言を託されたパートナーは、遺言者の死後、遺言の所持人として家庭裁判所に検認の申立てをします。検認が申し立てられると裁判所は、遺言者の法定相続人に対して、検認手続に立ち会えることを通知し、検認の手続きでは、出頭した法定相続人と申立人であるパートナーの同席のもと、裁判官が遺言書をそれぞれに提示します。遺言者が生前に同性パートナーがいるということを、親族に明らかにしていなかった場合、検認の手続で、遺言者のパートナーは、生前の遺言者との関係について、遺言者の親族に説明しなければならなくなるかもしれません。
     他方で、公正証書遺言は、公証役場で、二人の証人の立会いの下、公証人に遺言の内容を口授し作成します。事前に公証人と、遺言書の内容の打合せと確認をしなければいけませんし、公証人の費用もかかりますが、公正証書遺言は、遺言をした人の死後、自筆証書遺言の検認のような手続きを経ることなく、遺言者として財産承継の手続きに取りかかることができます。
  • 遺留分侵害額請求権
     遺言者が全ての財産をパートナーに遺贈するという遺言を作成しても、親や子供などの直系親族および法律上の配偶者は、相続人として遺留分侵害額請求ができます(民法1042条)。遺留分侵害額請求とは、遺言により法定相続分が侵害される相続人が、受遺者に対して一定割合の金銭を請求できることを法律が認めたものです。相続人は、遺留分侵害額請求権に基づき、侵害された遺留分に相当する金銭を支払うよう求める調停や訴訟を、遺言者のパートナー(受遺者)に対して起こすことができます。
     遺言者がパートナーとの関係を、親族に明らかにしていなかった場合など、亡くなった遺言者の全財産を遺贈により承継したパートナーの存在を初めて知ることになった親族が、パートナーとの間で遺留分について紛争状態になることは、必ずしも遺言者が望むことではないかもしれません。
     パートナーと相続人の間で、遺留分の紛争が生じないように工夫した財産の分け方を、遺言作成の段階で考えておくことは大切なことでしょう。
  • 遺言によらない財産承継
     法律上当然に相続人にならない同性パートナーに財産を承継する方法として、遺言書による方法のほか、同性パートナーを受益者とする信託を利用する方法や、同性パートナーを保険金の受取人とする生命保険契約を利用する方法などがあります。
     また、養子縁組をすることで、法律上の親子関係を形成し、遺言が無くても相続人である子または親として財産を承継させることができます。もっとも、現行法では、養子縁組を一旦行ってしまえば、その後養子縁組を解消した場合でも、婚姻をすることができないという規定があります(民法736条)。将来同性婚が認められた場合、この規定が適用される可能性が無いとは言い切れませんので、その点には注意が必要です。
私はとある中小企業の人事部で働いており、先日弊社の中途採用の求人ページに以下の問い合わせがありました。
「私は、トランスジェンダーで、戸籍上の性別は女性ですが、現在男性として社会生活を送っています。貴社の求人に応募したいと考えておりますが、貴社のエントリーシートには、男女いずれかで性別を記載させる性別欄の記載があります。私のような場合、どうすれば良いですか。」
私は、採用担当者として、どのように回答すればよいでしょうか。

あなたの会社の求人において、応募者に戸籍上の性別をあえて申告させる必要が無い場合には、性別の記載自体無くても問題が無いことを伝えてあげると良いでしょう。
エントリーシートの性別欄自体、削除してしまうことも検討すべきです。

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  • 求人書類の性別欄について
     履歴書やエントリーシートなどの書類に男女の性別欄を設けた上で、性別欄への記入を強制的なものとした場合、戸籍上の性別とは異なる性別を記載することが経歴詐称になるのではないかと悩むトランスジェンダー当事者もいるでしょうし、性別を記載させられること自体に精神的苦痛を感じる人もいます。
     また、戸籍上の性別とは異なる性別で社会生活を送っているトランスジェンダー当事者にとっては、履歴書等に戸籍上の性別を記載することで、アウティングの恐れが生ずることになります。具体的には、履歴書やエントリーシートが他者の目に触れることによって、移行前の性別(戸籍上の性別)が露見するのではないかといった恐れです。
     2020年7月にトランスジェンダーの当事者団体が履歴書の性別欄の削除等を求める要請を行ったことをきっかけに、厚生労働省及び一般社団法人日本規格協会では、履歴書様式例の性別欄を、これまでの「男・女」のいずれかを選択させるものから、任意記載の欄へと変更しました。任意記載ですから、このような様式を用いた履歴書では、そもそも性別を記載しないこと自体、認められています。
     先に述べた応募者の恐れや悩み、精神的苦痛を取り除くためには、企業の側でも、こういった履歴書を使用していくことが積極的に推奨されるでしょう。
  • 性別を申告させる必要性はあるのかを検討しましょう
     あなたの会社では、労働者の募集及び採用に当たって、応募者に性別を申告させる必要性はあるのでしょうか。
     そもそも雇用機会均等法は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと規定しています(第5条)。例えば男性のみの採用、女性のみの採用といった、採用対象を男女いずれかの性別に限定する採用は、性別を理由とする差別に該当するため、原則として禁止されています。それには一定の例外もあり、例えば、守衛、警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務については、男性のみを採用対象としても、均等法違反にはなりません。また、女性が少ない職場で女性を優先的に採用するといったことも、ポジティブ・アクションの一つとして、例外的に認められています。
     一般的なオフィスワークの仕事に関していえば、均等法の例外にはあたりませんので、ポジティブ・アクションを取る場合でない限り、性別を限定した募集及び採用を行うことは、そもそも均等法違反となります。企業側としては、性別限定採用を行わないとしても、男女別の応募人員数を確認したいといったニーズもあるでしょうが、そういったニーズがある場合でも、性別の申告は、強制的ではなく、任意記載とすることで足りるものと考えられます。
    あなたの会社の求人において、応募者に戸籍上の性別をあえて申告させる必要が無い場合には、性別の記載自体無くても問題が無いことを、応募者に伝えてあげると良いでしょう。
私はゲイです。出会い系アプリで,性的関係を持つことを目的に知り合った相手に言われるまま自分の本名や仕事を伝えたところ「ゲイだとばらすぞ」「バラされたくなかったらお金を払え」と脅されるようになり,言われるままお金を渡す関係が続いています。
お金を渡すのをやめたいのですが,やめたらゲイであることをバラされるんじゃないかと心配です。また警察に被害届を出したことでかえってゲイだということが広く人に知られるのではないかと心配です。

恐喝被害です。警察への被害届や告訴など,毅然とした対応を取り,加害者に対する被害額相当の損害賠償請求などができます。

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  • 恐喝被害であること
     相談者がゲイである事実を公にカミングしていない場合,意に反してそれが暴露されることは,私生活上の秘密を侵すことであり,そのことは相談者にとって精神的苦痛を伴うばかりか,社会生活上の具体的不利益が生じる可能性があります。
    「ゲイだとばらすぞ」といって金銭を要求することは,私生活上の秘密を侵すことにより生じる精神的苦痛や社会生活上の不利益を畏怖させて金銭を支払わせようとするものであり,恐喝罪(刑法249条1項)に該当する犯罪です。
    恐喝の被害者として,警察への被害届の提出や刑事告訴をすることができます。
  • 被害届や刑事告訴での注意点
     実務上,被害届や刑事告訴については,最終的に金銭を交付した場所を管轄する警察署が受理の取扱いとされることが一般的です。
    警察に被害届等をする際には,記憶を喚起して金銭を交付した場所や時間の特定をできる限りしておくことが必要です。
    また,加害者とのやりとりがメールやLINEなどである場合は,それは恐喝の事実を裏付ける証拠となりますから消去や紛失しないようにしておかないといけません。
    また,加害者の携帯電話番号やメールアドレスほか,出会い系アプリにおいて加害者が公開しているプロフィール写真などの情報も,加害者を特定するための重要な証拠になります。
    警察の迅速な捜査を促すためにも,被害届等の時点で被害者側として収集できるかぎりの証拠を提出しておくことは有用です。
  • 捜査や裁判の過程で自分がゲイであることは公になるのか
     警察が捜査の過程でゲイである事実を関係者や家族に告知するということはまず考えられません。また氏名などが被害者として社会に公表されることも通常はあり得ません。
    しかし捜査の結果,加害者が逮捕勾留されあるいは逮捕勾留されなくとも在宅で起訴されたときは,公開の法廷で被害者として氏名が記載された起訴状が読み上げられますし,場合によっては,被害者として法廷で証人として証言することを求められることもあります。
    性犯罪事案においては被害者氏名を匿名で記載する起訴状も認められる場合がありますが,恐喝など財産犯事案で被害者氏名を匿名で記載する起訴状が認められることは難しいと思われます。
  • 実際にゲイであるとバラされた場合について
     加害者が,相談者から金銭を喝取するだけでなく,実際に家族や職場などにゲイであることをバラした場合,すなわちアウティングされた場合,それは私生活上の秘密を侵す不法行為です。
     それによって受けた精神的苦痛についての慰謝料,そしてそれによって社会生活上で受けた財産的不利益について,加害者に対する損害賠償請求ができます。
     警察・検察による捜査や刑事裁判の過程で,加害者の特定ができれば,これまで喝取された損害額だけでなく実際にされたアウティングによる被害金額も損害賠償として請求できます。また,刑事事件の被疑者被告人となった加害者と示談交渉においても,喝取された金額だけでなく,あなたが実際に被った損害額を基準にした協議をするべきでしょう。
 会社員をしている30代の女性です。私は、レズビアンで、長く交際している女性の恋人がいます。ですが、会社ではカミングアウトしていないため、上司からことあるごとに「いい年して結婚しないのか」「もしかしてレズ?」「女のシアワセは結婚」「いい男を紹介してやろうか」など言われ、精神的にしんどい思いをしています。「プライベートなことなのでほうっておいてください」「セクハラですよ」と言っても真剣に聞いてくれず、最近ではそのことを気に病んで仕事にも支障が出るようになり、心療内科に通うようになりました。どうしたらいいでしょうか。

「結婚しないのか」「もしかしてレズ?」など性的な事実関係について尋ねるなどの上司の言動は、これにより、この方が苦しい気持ちに陥り職場の環境が不快になって労働能力の発揮に悪影響が出ていることから、環境型セクハラにあたります。ですから、このまま我慢する必要はありません。
会社には、労働者の安全に配慮する義務があり、職場においてセクハラが発生しないよう職場環境を整える義務があります。

このため、会社のセクハラ苦情処理窓口に相談することも考えられますし、相談しても改善されなければこの上司と会社に対して損害賠償請求をすることも考えられます。場合によっては、労働基準監督署に対して労災保険申請をすることも考えられるでしょう。こういった問題について法的手段を検討される場合には、セクシュアルマイノリティについて一定の知識経験を有する弁護士に相談されることをおすすめします。

*大阪弁護士会では、毎月第4月曜日午後4時~6時に LGBTsのための電話相談 を行っていますので、是非ご相談ください。

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