2020.05.01
政府は,新型コロナウイルスの感染広がりに対する緊急経済対策として,全ての国民を対象に,特別定額給付金10万円を一律に支給する予定です。5月1日までの成立が目指されています。これについて,テレビや新聞ではあまり触れられていない点にお答えしましょう。
10万円を受ける対象者は,令和2年4月27日の時点で住民基本台帳に記載されていた人とされています。また,受給権者は,そのような対象者が属する世帯の世帯主とされています。
住民登録がされていれば支給されます。外国人籍でも中長期在留者や特別永住者は,住民登録をしています。このように住民登録をしていれば10万円が支給されます。これに対し,住民登録をしていない外国籍の人には,支給はありません。
4月20日の記者会見の際,菅官房長官は,記者からの質問に,所得税や個人住民税は非課税とする予定である,と答えており、課税されないものと考えられます。
10万円は,住民登録(住民票)上の世帯主に給付されますから,住民登録のうえで世帯が1つであれば,10万円は世帯主が受け取ることになります。一方、別居していて住民票が移されていれば、それぞれの世帯主が受け取れます。「家庭内別居」の場合でも、「世帯分離」という手続が必要ですとられていれば、別々に受け取ることができます。そのようにして,4月27日までに別々の世帯にしておけば,夫婦とはいっても別々に10万円を受け取ることができます。
例外として総務省のホームページがあげているのが、DV(家庭内暴力)の場合です。配偶者(例えば夫)の家庭内暴力が理由で別居して離婚手続を進めているけれども,住所を知られては困るため住民票を移転させていない,といった者(例えば妻)については、夫からの申請があっても妻の分は支給せず,妻からの申請により,妻が住んでいる市町村で支給する,としています。殴る蹴るといった暴力以外のDVにあたることはあります。
ただし、2つ重要な点があります。1つは、「急いで!」ということです。この申請は4月30日までに住民票がある市区町村に届出をしておく必要があり、その日がもう過ぎています。5月1日以降でも受け付けてはもらえるのですが、世帯主(先ほどの例を見ますと夫)が先に受け取ってしまったような場合には、間に合わないことになります。大至急、手続をしましょう。もう1つは、「証明書類が必要!」ということです。総務省のホームページには、公的な証明書として3つの例があがっていますが(裁判所の保護命令や婦人相談所からの確認書など)、このハードルがちょっと高いのです。ただ、時間もありませんので、市区町村のホームページを見た上で、まずは窓口に行ってみることをお勧めします。
減らされることはありません。厚生労働省は,この10万円について,生活保護制度上の取扱について,生活保護を受けている人でもこの10万円を受け取ることができること,10万円を受け取っても生活保護において収入認定をしない,つまりこの10万円を受け取っても生活保護費を減らすことはない,ということを,4月21日に表明しています。ですから,この10万円を受け取ったからと言って,その分の生活保護費が減らされることはありません。
4や5でダメと言われた場合、弁護士に相談してみてください。うまくいくアイディアがあるかもしれません。
<回答者>
大阪弁護士会 広報室
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