2020.03.13
「内定」とは、裁判例で「始期付解約権留保付の労働契約を締結した状態」と解釈されています。ここで重要なのは「解約権留保付」というところです。要は、内定通知書や誓約書などに記載されている内定取消の条件にあてはまる場合は、雇用する側から解約できる労働契約だと考えられています。
「内定」取消が認められるか、裁判例をみると、「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって・・・解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」と整理されています。
例えば、内定者が卒業できなかった場合、経歴詐称があった場合などには、内定取消しが認められる、といえます。
では「新型コロナウイルス蔓延による経営状態の悪化」は内定取消しが認められる場合にあたるのでしょうか。
経営悪化による内定の取消しの場合、
①内定取消しの必要性
②会社が内定取消しを回避するために努力を尽くした
③人選の妥当性
④内定取消しを出すまでの過程で手続(説明や話し合い)が妥当であったか
が、具体的な判断の目安とされています。さらに、内定者に対して同意による解約を試みたか、一定の解決金を示したか、他の会社への就職斡旋をしたかなども考慮されます。
新型コロナウイルィス蔓延による経営悪化で内定取消しが認められるかについても、上記①から④などが判断の目安になると考えられます。
もっとも、内定取消しが認められる場合であっても、それとは別に、慰謝料の請求などが考えられます。
まずは、内定取消しに納得がいかないようであれば、何も対応を行わないことで、黙示に承諾があったと取られないよう、とりあえず異議がある旨の連絡や通知は入れておくべきといえます。
そして、内定取消しに関しては、個々の事情によるところも多いので、ぜひ、大阪弁護士会の法律相談を利用してみてください。
<回答者>
大阪弁護士会 広報室
※ご相談は各地域の法律相談センターへ直接お問い合わせください。