2019.08.01
ロースクールの一般的なコース(「J.D.」といいます)は3年です。特にその1年目の勉強はその時の成績が後々のキャリアに大きく影響することもあり,良い成績を収めなければならず,とても大変なようです。学生は,本当に寝る間も食事をする間も惜しんで勉強をします。
多くのロースクールには,1年間のL.L.Mというコースもあります。母国で既に法律を学んだ留学生は,このL.L.Mで学ぶのが一般的です。誰にこの1年コースの入学を認めるかについてはロースクールによって多少の違いはあるようですが,日本の司法試験に合格した弁護士のほか,法学部などで法律科目を一定程度履修している大学卒業生も受け入れるところが多いようです。J.D.に比べれば競争が少ない分だけ少し楽とも言われますが,多くの外国人には語学のハンディもありますから,単位を取得するために猛烈な勉強が必要です。
J.D.を修了した日本人としては,後述の阿川尚之さんなどがおられますが,あまり多くはありません。英語をネイティブとしない日本人にとってはとても大変です。
授業料はかなり高額です。年間500万円を超える例も珍しくないようです。優秀な成績をとって奨学金(返済不要)を得る学生もいますが,学生ローンを抱えることになる学生も多いようです。
司法試験の難しさは,州によって差はあるといわれています。日本に比べると司法試験の合格率は高いのですが,それでも受験は大変で,受験生は,ロースクールを終えた後,試験までの間に猛烈に受験勉強をします。
アメリカの弁護士資格は,あくまでアメリカの各州での弁護士資格です。日本で弁護士としての仕事をすること,例えば日本の法廷に立つことや、法律業務をすることなどはできません。ただし,外国の弁護士資格を有し一定の実務経験がある人は,日本の弁護士会に登録をすれば,「外国法事務弁護士」という資格で,その国(例えばフランス)や州(例えばカリフォルニア州)の法律に関する仕事をすることはできます。
アメリカのロースクール生の猛烈な勉強ぶりを描いた本としては,スコット・トゥロー(「推定無罪」などで有名な小説家でもあります)の「ハーバード・ロースクール わが試練の1年」(ハヤカワ文庫,1985),阿川尚之(阿川佐和子さんのお兄さん)「アメリカン・ロイヤーの誕生 ジョージタウン・ロー・スクール留学記」(中公新書,1986)などがあります。いずれも古いものですが,入手可能です。ちょっと変わったものとして,Chocolate Ghost Houseの「Law School」という曲の歌詞からは,アメリカのロースクールの学生の大変な生活ぶりがわかる気がします(ネットに動画がありますが,スーパーを含め英語です)。
<回答者>
大阪弁護士会 広報室
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