2019.06.20
裁判所を語った架空請求という詐欺の例がしばしば報告されています。「民事訴訟管理センター」からはがきが来るという例のほか,最近では「地方裁判所民事訴訟部」から封書が来た例もあるようです。ネットの利用代金,といった名目が多いようで,なんとなく覚えがある場合のほか,「もしかして子どもが・・」と思って連絡をして,ひっかかってしまう例もあるようです。ニセの請求を,裁判所からの書類と見分けるにはどうしたらよいでしょう。
裁判所や弁護士に尋ねれば確実に見分けることができます。ただ,その前に,ご自分で見分ける,あるいは疑うにはどうしたらよいでしょうか。いくつかポイントをあげてみましょう。
1 裁判所からの書類は特別な書留郵便で来るのが普通
裁判所からの重要な書類は,原則として,「特別送達」という名前の特殊な書留郵便で来ます。いきなりメールが来ることはありません。はがきで来ることもないと思ってよいでしょう。「地方裁判所民事訴訟部」からの書類は,封書で来ているようであり,手が込んできたなと思いますが,それも普通郵便で送られています。さすがに書留を使うと費用がかかりすぎて,詐欺への「投資」として合わないのでしょう。
2 おかしなところがある
手紙には,日本語表現におかしなところがあることがよくあります。また,裁判所からの手紙なのに弁護士に連絡をせよ,となっていることもよく考えてみるとおかしなところです。
3 確認する
身に覚えのない請求は,まずはニセの請求と疑いましょう。ちょっと身に覚えがあっても,いきなり裁判所から書類が来るようなことはまず考えられません。家族が使ったのでは,と思うときには,家族にも尋ねてみましょう。
4 ネットで調べてみる
「民事訴訟管理センター」といった語で検索しますと,注意を促すサイトがたくさん見つかります。送られて来た手紙に書かれた電話番号にかけたりする前に,ちょっと調べてみましょう。
5 「いきなり来る請求」「せかす請求」は怪しい
裁判所の手続の中には,「仮差押え」といった,予告なくあなたの財産を差し押さえたりする手続がないわけではありません。しかし,それにはかなり費用がかかります。請求する側のコストを考えますと,そのような手続をいきなりしてくるということは,めったにないと思っていただいてよいでしょう。しかも,「3日以内に」などとせかしてくるとなると,一層怪しいと疑いましょう。
6 裁判所や国民生活センターのサイトを見る
裁判所は,このような架空請求についての注意を促しています。
最高裁判所のサイト
http://www.courts.go.jp/about/topics/fushinhagaki/index.html
大阪地方裁判所のサイト
http://www.courts.go.jp/osaka/about_tiho/fushinmail/Vcms3_00000535.html
また,国民生活センターのサイトにも注意喚起があります。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170501_1.html
7 弁護士に聞いてみる
2の「おかしなところ」といっても,裁判所からの書類を見慣れていないかたにとっては見分けにくいと思います。そういうときは,弁護士にちょっとだけご相談下さい。知人の弁護士でもよいですし,自治体や弁護士会館での法律相談をご利用いただいてもよいと思います。すぐに答えが出ます。
<回答者>
大阪弁護士会 広報室
※ご相談は各地域の法律相談センターへ直接お問い合わせください。