2018.06.21
大阪府北部で震災被害に遭われた方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。余震が続いており,身の安全が当面の課題ですが,生活の再建も大切です。まだ全容はわかりませんが,建物への被害などを中心に,いくつかの情報提供をしたいと思います。まだ不十分な情報ですが,逐次追加をしていきます。
1 災害救助法による応急修理
大阪市,豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市,寝屋川市、箕面市、摂津市、四條畷市、交野市、島本町には災害救助法の適用が決まっています。被災者に生活必需品の提供がされるほか,建物の応急修理がされる場合があります。
2 住宅の被害認定と罹災証明書の発行
災害時の各種の支援等の基準となるものとして罹災証明書の発行がなされます。市町村によって建物を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない(一部損壊)」の4つの区分に認定します。認定のための調査は,「損壊基準判定」(延べ床面積に占める損壊割合)と「損害基準判定」(主要な構成要素の経済的被害の割合)の2つを用いて。研修を受けた調査員(市町村の職員等)が行います。ただし,認定のバラツキがあることも否定はできません。認定結果に不服があっても裁判などはできませんが,市町村役場に不服を申し立てると,再度の調査が行われます。ご自分で罹災の状況がわかる写真をとったり,建築士や弁護士などに相談をしたりしておくことが有益な場合もあります。
3 火災保険(地震特約)
火災保険には,一般的に,地震による被害について保険会社は責任を負わないという規定があります。したがって,地震による被害に対しては,地震特約があった場合にだけ保険金が支払われます。地震による建物の被害の認定は,罹災証明書による認定とは一応別に,保険会社が独自に「全損」「半損」「一部損」の査定をし、契約保険金額に対し全損で100%,半損で50%,一部損で5%が支払われるとされていましたが、2017年1月1日以降が契約始期となる契約については、「半壊」が「大半壊」と「小半壊」に分けられ、前者については60%、後者については30%となっています。なお、いずれについても時価との関係での上限もあります。地震保険の請求をスムーズにするためには,建物については主要構造部(柱や外壁など)の写真を,家財道具については電化製品や家具などの壊れた写真を個々に撮っておくとよいようです。加入している火災保険会社がわからない場合は日本損害保険協会の自然災害等損保契約照会センター(0120-501331。平日の9時15分~17時)に被災者の本人や親族が電話をすれば,照会に応じているとのことです。各損害保険会社も,対応するスタッフを増やして,迅速な対応をするということを公表しています。
4 自然災害被災者債務整理ガイドライン
上記1のとおり,13の市町に災害救助法の適用がされましたので,この地震以前から借りている住宅ローンや事業性ローンなどの返済が,この地震被害の影響で難しくなった方については,「自然災害被災者債務整理ガイドライン」を使って,借入金の整理をすることができる場合があります。例えば「こんな地震にあってしまってもう自己破産しかない」と思っている方でも,ほかに解決の道があるかもしれません。借入をしている金融機関の窓口に申出をすることから手続は始まりますが,その前に弁護士会の法律相談にお越し下さい。
5 被災者生活再建支援法について
被災者生活再建支援法は,災害で住宅が壊れた場合,その程度に応じて,国が基礎支援金(50万円~100万円)と,再建方法に応じた加算支援金(50万円~200万円)を支給するとしています。ただし,この法律が適用されて支援金が支給されるのは,「全壊建物が10戸以上ある市町村」です。現時点(6月19日現在)では,この適用が決まった市町村はありません。
※ご相談は各地域の法律相談センターへ直接お問い合わせください。