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オリンピック選手に対する誹謗中傷・・・どうにかならないの?

2021.09.14

東京オリンピック2020では、日本選手団の活躍が連日ニュースをにぎわした一方で、オリンピック選手に対するインターネット上での誹謗中傷が相次いだことも社会問題となりました。このような誹謗中傷の被害にあった場合、対処する方法はあるのでしょうか。

はじめに

今回ニュースになったようなインターネット上での誹謗中傷は、匿名でされたものであっても投稿者を特定するための手続があり、その上で損害賠償請求をすることができます。また、投稿者やコンテンツプロバイダ(当該サイトの管理者)投稿の削除を求めたりすることができます。
このようなインターネット上での投稿については、「表現の自由」があるから許されるのではないか、と思われる人も多いと思いますので、まずは表現の自由との関係からはお話していきたいと思います。

 

1 表現の自由とその制限

インターネットの普及によって、誰でも自由に情報のやり取りができるようになりました。みなさんも表現の自由という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、インターネット上での情報のやり取りにも、表現の自由の保障が及びます。
表現の自由というのは、憲法21条1項で保障された権利です。誹謗中傷を内容とするインターネット上の投稿も、表現の自由の対象となることには違いありません。
しかしながら、表現の自由が憲法で保障されているからといって、いかなる表現であっても許容されるというものではなく、第三者の権利を侵害することは許されません。
例えば名誉毀損や侮辱などの一定の言論は、不法行為(民法709条)として、損害賠償請求の対象となります。それ以外にも、他人の氏名や住所、電話番号やメールアドレスなどの個人情報や、私生活上の公開を欲しないようなことがらをむやみに公開すればプライバシー権侵害となります。また、守秘義務の定められた契約・合意に反して秘密を漏らした場合や、他人の著作権侵害になる場合も損害賠償の対象となります。

 

2 インターネットでよく問題になる表現行為

インターネットではしばしば、今回のオリンピック選手たちに対する投稿やメッセージで問題となったような、掲示板やSNSにおける他人を誹謗中傷する投稿が問題になります。
この際、一般的には名誉毀損又は侮辱に該当するかが問題になります。これらはともに社会的評価を低下させるという点で共通しますが、事実の摘示を伴うかによって区別されます。「事実の摘示」、すなわち事実の主張を含むか否かは、証拠等によってその存否を決することが可能かどうかによって判断されます。例えば、「あいつ、不倫しているらしい」という表現であれば名誉棄損に該当し、「あいつは下品な奴だ」という表現であれば侮辱に該当することになります。また、個人的な意見ないし論評であっても、人の社会的評価を低下させる表現であれば、名誉毀損に該当するとされています。
このように他人の秘密やプライバシーの暴露を含んでいない場合であっても、また、自分の個人的な意見ないし論評であったとしても、人の社会的評価を低下させたり名誉感情を傷つけたりする表現行為は、名誉毀損や侮辱にあたるものとして不法行為が成立し、損害賠償請求の対象になります。

 

3 被害にあった場合の救済方法

今回社会問題になったオリンピック選手たちのようにインターネット上でこのような被害にあった場合、投稿者に対して損害賠償請求や削除請求をすることが可能です。

しかし、インターネット上では、投稿者の正体が分からない場合も多く、直ちにそのような請求ができないことがあります。そのような場合でも、いわゆるプロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)で定められた「発信者情報開示請求」という手続きによって、投稿者を特定することができる場合があります。

手続きの詳細は割愛しますが、投稿者のIPアドレスというものを通じて投稿者を特定することが通常です。IPアドレスに関する情報の保存期間が限られていることとの関係で、投稿等がされてから遅くとも3カ月以内には手続きを開始したほうが良いでしょう。投稿者を特定したい場合は、早めに動き始める必要があります。

また、投稿者ではなくコンテンツプロバイダに対して投稿等の削除を請求することもできます。コンテンツプロバイダに対する削除請求については、投稿等から一定程度期間が経過してしまっていた場合でも可能です。プロバイダ責任制限法では、送信防止措置と呼ばれています。このような削除請求をすることで、被害者の権利を侵害する情報の拡散を食い止めることができます。

 

4 最後に

今回問題になったオリンピック選手に対する誹謗中傷は、このような手続きを通じて対処されることと思われます。他方で、発信者の特定や送信防止措置を個人で行うことは必ずしも容易ではありませんので、被害にあった場合は弁護士や法務局の人権相談窓口などにご相談ください。

 

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