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養育費はどうやって決めればよいか?

2021.06.15

現在夫と離婚について話し合いをしています。離婚することと、子どもの親権者を私にすることは決まりましたが、子どもの養育費をいくらにするかについて決まりません。この場合、どのように養育費額を決めることになりますか?

1.養育費の決め方

養育費というのは、離婚後に子どもと同居していない親が、同居 している親に支払うものです。離婚しても子どもを養う義務(扶養義務 )は親が負うものですから、子どもが自立するまでに必要な生活費、教育費、医療費等を経済力に応じて負担することになります。そして、親が子どもに負う扶養義務は、親の生活と同程度の生活を保障する高いレベルの義務なので、余裕資金から支払え ばよいというものではありません。
具体的には、同居している親(相談者)と同居していない親(夫)双方の収入額を基準として決めますが、「養育費算定表」というものが裁判所のウェブサイトで確認できますので 、この表を参考に養育費の金額を決めるとよいでしょう。

2.養育費の分担についてはいつ決めればいい?

養育費は離婚後すぐに必要になるので、離婚前に決めておく方がよいでしょう。現在、離婚届には「経済的に自立していない子がいる場合は養育費の分担について取り決めをしているかどうか」を記載する欄があります。今後は養育費の分担について公正証書を作成しているかどうかを尋ねる欄が増える予定です。
これは、離婚時に養育費の分担について取り決めをしている方が統計では60%台前半に留まり、取り決めをしていても支払いを受けられない同居親が多いことから、「公正証書 」などで取り決めることを促すためです。(「公正証書」については5.で説明します。)

3.養育費の分担が決まらない場合

養育費の分担について決まらない場合、家庭裁判所の調停を利用して話し合うことができます。離婚前に養育費について話し合いをしたい場合は、「夫婦関係調整調停 」という手続を利用してください。
調停では、夫婦双方の収入がわかる資料を提出し、子どもの人数や年齢を考慮して養育費額を話し合います。
もちろん、離婚後であっても養育費額が決まっていない場合は、「子の監護に関する処分調停」という手続を申し立てて定めることができます。
養育費は子どもが自立するまで長期間支払ってもらうものなので、よく話し合って、金額や期間を決めるようにしましょう。また、将来、再婚して家族が増えたり 、収入が大きく増減したりする場合は、養育費額の変更を調停で話し合うこともできます。

4.いつまで養育費をもらえるか

令和4年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられます。この影響で「養育費は18歳までしかもらえなくなるの?」という質問を頂きます。しかし、成人年齢と合わせて一律に養育費を18歳までとするべきではありません。
養育費は子どもが未成熟で自立するまでは親が保護する必要があるために負担するものです。18歳の子どもの多くはまだ学生で保護することが必要な未成熟子といえますから、子どもが自立できるであろう年齢を考慮して養育費をいつまで支払うか、もらうかを決める方がよいです。
なお、すでに養育費を成年に達するまで払うという約束をしている場合は、成年年齢が18歳に変更されても、約束をした時点の成年年齢(20歳)まで支払い義務を負うことになると考えます。

5.養育費を決めたあとは

調停で養育費を決めた場合、その内容について「調停調書」を作成します。調停調書があると、決めた内容を相手が守らない時は、相手が保有している財産から強制的に養育費を回収する手続きに進むことができます。
また、調停ではなく双方の親の話し合いで養育費を決めた場合は、「公正証書」を作っておくと「調停調書」と同じように強制的に養育費を回収する手続きを利用できます。 公正証書は最寄りの「公証役場」で作成できます。
残念ながら、養育費の分担を決めていても、時が経つと養育費の支払いが滞ることが多いため、「調停調書」や「公正証書」で養育費の分担を決めておくことは非常に意味があります。

ではどのように強制的に養育費を回収するかですが、給与や預金、不動産の差押え などが考えられます。民事執行法の改正により、養育費の請求に対しては、一定の条件がありますが、裁判所を通じて日本年金機構等から勤務先を特定するのに必要な情報を取得することが可能になりました。 預金や不動産などの財産があるかどうかについても同じように開示を求めることができます。

6.弁護士にご相談を

養育費を決める際に「養育費算定表」は参考になりますが、個別具体的な事情によっては修正が必要な場合もあります。また、当事者同士では話し合いが難しい場合も多いですし、養育費の不払いの場合に強制的に回収するには煩雑な手続きが必要になります。
養育費や、離婚の際に決めておくべきこと、養育費を支払ってもらえない場合などは、早めに弁護士にご相談ください。
<回答者>
大阪弁護士会 広報室

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