2017.07.27
刑法の一部が改正され、7月13日から施行されたということが報道されています。どこがどう変わったのでしょうか。
刑法の性犯罪には,大きく次の2つの類型がありました。
強姦罪: 3年以上~20年の懲役
強制わいせつ罪:6カ月~10年の懲役
強姦罪のほうが重く処罰されます。しかし,強姦罪は,「女子(女性)」への「姦淫(性交)」を暴行か脅迫によって行った場合にのみ成立します[i]。それ以外の行為の場合は,強制わいせつ罪で処罰されるだけでした。
今回の改正で,「強姦罪」が「強制性交等罪」となりました。暴行または脅迫を用いたうえでの性交のほか,一定の行為[ii]もこの罪で処罰されます。また,男性に対して同様の行為を行った場合にも,この罪で処罰されます。しかも④のとおり,その刑はより重くなりました。
これまで強姦罪や強制わいせつ罪などは,被害者のプライバシーを尊重する趣旨から,原則として,被害者が「犯人を処罰して下さい」という「告訴」をしなければ起訴ができない「親告罪」でした。しかし,被害者に告訴するかどうかの決定が委ねられていることが,被害者に精神的負担となっており,親告罪であることが事件をうやむやにされる一因になっていました。今回の改正で,強制性交等罪や強制わいせつ罪などは,被害者の告訴がなくても、加害者を起訴できる「非親告罪」になりました。
強制性交等罪や強制わいせつ罪の成立には,暴行や脅迫が必要です。しかし,18歳未満の者に対し、親などの監護者がその影響力に乗じてわいせつな行為や性交等をした場合は、暴行または脅迫を用いなくても、「強制わいせつ罪」「強制性交等罪」と同様に処罰されることになりました。
これまでは、強盗をした者が強姦した場合と強姦をした者が強盗した場合とで取り扱いが異なっていましたが、改正後は、どちらも「強盗・強制性交等罪」として、無期又は7年~20年の有期懲役として処罰されることになりました。
[i] このほか,暴行や脅迫ではなく,気を失った状態を利用したり,気を失わせたりして女性と性交をすると,「準強姦罪」が成立しました。これも,「準強制性交等」に改正されました。
[ii] 肛門性交と口腔性交がこれにあたります。
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