2020.11.27
新型コロナウイルスは、今のところ感染症法上の指定感染症に定められていますので、これに罹患した場合、その病原体を保有しなくなるまでの期間、就業が制限されることとなります。
そのため、会社に対して、就業が制限されている間の給料の支払を請求することはできませんし、労基法上の休業手当の支給を求めることも難しいでしょう。
もっとも、会社によっては、就業規則などに病気で休んだ場合の給与補償が定められている会社もありますので、そのような制度がないか、まずは確認することが必要です。
会社に病気休暇制度がない場合であっても、4日以上連続して業務に従事できなかった場合には、健康保険法等を根拠とする傷病手当金を受給することができますので、受給を検討しましょう(国民健康保険の場合は、お住まいの自治体に相談してみてください)。
業務や通勤に起因して新型コロナウイルスに感染したと認められる場合には、労働災害や通勤災害と認定され、療養費や休業補償を受けることができます。
ただし、労働災害等と認定されるためには、感染経路の特定や、特定できない場合には業務従事状況や一般生活状況の調査が行われ、個別に業務や通勤との関連性が判断されることとなります。労災認定には時間と労力が必要となりますので、まずは上記の傷病手当金を受給することを検討しましょう。
また、労働者が保険給付の手続を行うことが困難である場合には、事業主が助力しなければならないこととなっています。労災申請に際しては会社に相談し、協力を求めてください。
新型コロナウイルスに感染したものの既に治癒したにも関わらず、会社から一方的に自宅待機を命じられても、会社には給料を全額支払う義務があると考えられます。
そのため基本的には補償を求めるべきです。ただし、治癒したかどうか(いつから職場復帰できるかどうか)の判断は、難しい判断となりますので、産業医や会社とよく相談して決める必要があります。場合によっては、感染拡大防止のため、治癒した場合であっても自主的な休業を求められることもあると思いますので、給料の補償については会社とよく話し合い、支払ってもらうように交渉しましょう。
<回答者>
石田 慎也 弁護士(大阪弁護士会 労働特別委員会)
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