2020.10.06
過失のある加害者(今回のケースでは自動車の運転者)に対し、損害賠償の請求ができます。今回は、自動車の運転者が任意保険に加入していたということですので、運転者本人から支払ってもらう代わりに、任意保険の損保会社から支払ってもらえることになります。
けがが治った時、又はこれ以上治療してもけがが良くならない時のことを「症状固定」といいます。「症状固定」といえるかどうかは、訴訟になったときは最終的に裁判官が判断しますが、主治医の判断が尊重されることが多いです。症状固定に至ってはじめて損害賠償金の総額が計算できることになります。
今回のケースでは治療中とのことですから、症状固定前であって請求額の計算はまだできませんが、主な請求内容を紹介します。下の図を御覧ください。
①治療費
症状固定までの治療費は、加害者に請求できます。加害者が任意保険に加入しているときは、損保会社が病院に直接支払ってくれることが一般です 。今回のケースでも、損保会社が支払ってくれています。
② 休業損害
けがのために仕事を休まざるを得なくなり、収入が減ってしまった場合、その減収分を請求できます。
③ 入通院慰謝料
入通院を強いられてつらい思いをしたことに対する慰謝料です。入院期間と通院期間の長さに応じて算定されます。例えば、大阪地裁での通常の基準では、入院が1か月・通院が8か月の場合、基準額は169万円とされています。ただ、事案に応じて金額が増減されることがあります。
④ 後遺障害による逸失利益
治療を続けても治らなかった症状を「後遺障害」と呼びます。後遺障害の内容に応じて、稼ぐ力(「労働能力」といいます)が減ってしまいます。例えば、手にしびれが残ると、前と同じレベルの仕事ができず、収入が下がってしまう可能性があります。これを補塡するため、労働能力が減った分に応じて、けががなければ将来稼げるはずであったお金(「逸失利益」といいます)を請求できます。
⑤ 後遺障害慰謝料
後遺障害の重さによって、一定の基準に従い、後遺障害があることによりつらい思いをすることに対する慰謝料を支払ってもらえます。今回のケースでは、医師の説明内容からすれば、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」という等級に該当する後遺障害が残る可能性がありそうです。大阪地裁では、12級の後遺障害慰謝料は280万円が基準額とされています。
いくらもらえるかという問題は、様々な項目を一つ一つ計算し、これを相手方(損保会社など)に主張し、交渉していくことが必要です。しかし、計算方法には様々な考え方があり、損害額の計算には専門知識が必要となります。また、具体的な請求の進め方(交渉、自賠責保険の請求、訴訟、裁判外紛争処理機関などの利用)についても、一定のノウハウが必要です。適正な損害賠償をしてもらうためには、弁護士へのご相談をおすすめします。
<回答者>
住原 秀一 弁護士(大阪弁護士会 交通事故委員会)
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