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給料ファクタリングという新たなヤミ金に要注意!!

2020.06.15

新型コロナウイルス感染症の影響で、勤務シフトが減ってしまいました。
生活が苦しくなってきたので調べていたら、「給料ファクタリング」という新しいサービスで、給料の前借りみたいなものができると聞きました。利用しても大丈夫でしょうか。

1 給料ファクタリングってなに?

もともとファクタリングという言葉は、資金が必要な会社や事業者の方が、取引により発生した売掛金などの債権を業者に買い取ってもらうことによってお金を用立てる仕組み、という意味で使われることが多いものです。
給料ファクタリング(もしくは「給与ファクタリング」ともいわれます)というのは、売掛金ではなく会社から給料をもらう権利(給料債権)の全額とかその一部とかを給料日前に買い取ってもらう仕組みのことをいいます。業者は、買い取った給料額から一定の手数料を引いた金銭を利用者に渡し、給料日になると譲り受けた分の給料を利用者から受け取るというものです。
業者は、ホームページやSNSなどで「スピード対応」「給料の譲渡だから、貸金ではない」「ブラックOK」などと広告しており、昨今コロナウイルスの影響もあり、すぐに必要なお金が足りなくなったが給料日まで待てない人を中心に、利用している人が増えてきたといわれています。

2 給料ファクタリングの仕組みと問題点

具体的には、例えば、給料日が1か月後の額面10万円の給料債権を買い受けるとして、業者は、手数料として譲り受けた給料の額面の20%(2万円)を差し引いて8万円を利用者に代金として渡します。
その後、利用者が1か月後の給料日に給料10万円を受け取ったら、業者が既に買い取っているものだからということでその給料を利用者から業者に渡すという約束になっていて、利用者はその10万円を業者に渡すことになります。
結局、実際には、業者が、利用者に8万円を渡して1か月後に10万円を受け取る形になっており、渡したお金を元金として上乗せした金額を利息として計算すれば、月の利息額は2万円となり、月利にすると25%、年利にすると300%という超高金利になってしまいます。
そもそも、お金を借りる人の保護を図ることなどを目的とした貸金業法という法律があり、貸金業をするには、国や都道府県等に貸金業として登録することが必要です。
しかも、貸付の利率としては利息制限法で定められた上限金利(年15%~20%)を下回る利率で貸さなければならないとなっています(貸金業法12条の8、利息制限法1条)。
また、貸金業者の貸金については、年109.5%を超える金利を定めるとその契約自体が無効とされています(貸金業法42条)
業者は、「給料の売買なので貸金ではない」などとして、貸金業法や利息制限法なども適用されないと主張し、その旨ホームページなどに記載しているものがありますが、以下に述べるとおりこれは間違いです。

3 給料ファクタリングという名の違法なヤミ金融

給料については、労働基準法という法律があって、使用者は労働者の方に、給料を直接支払わないといけないとされています(労働基準法24条第1項)。
ですから、給料ファクタリングの場合、業者は給料を買い取っただけであると主張していますが、いかなる場合も、使用者は、給料を業者に渡せず、労働者に渡すしかないため、業者は労働者(利用者)からしか金銭をもらえないということになります。
このような仕組みを見ると、ただ金銭を代金として業者が利用者に渡して終わりということでなく、労働者である利用者から資金の回収をするというシステムが構築されているといえますから、経済的には貸付けと同じです。実際、給料ファクタリングについて、金融庁も、令和2年3月5日に経済的には貸付と同じであり、貸金業法2条1項の金銭の貸付に該当すると判断しています。
しかし、一般的に給料ファクタリング業者は、貸金業者として登録もしていませんし、貸金業法で認められた金利を大幅に上回る高金利で貸し付けをしていることになり、ヤミ金ということになります。

4 給料ファクタリングに手を出さない

そもそも、既に述べたように給料ファクタリングは、実態からみれば超高金利のヤミ金ですので、絶対利用してはいけません。
実際、一度給料ファクタリングを利用してしまうと給料日にもらえる給料が業者への支払にまわされるため、使える金額が少なくなり、その結果、また給料ファクタリングを利用しなければならず、自転車操業になってしまいます。
もし、どうしてもお金が必要になった場合には、給料ファクタリングなどといったヤミ金を利用するのではなく、お住まいの自治体の福祉部門等に相談することを検討してください。生活福祉資金貸付制度など、利用できる制度があるかもしれません。
債務の返済が多くて困ってしまったことでお金が必要な場合には、給料ファクタリングを利用して返済するのではなく、債務の整理について弁護士に相談することが大事です。

5 給料ファクタリング被害にあったら早めに弁護士にご相談を

また、万が一、給料ファクタリングを利用してしまって困っているという人は、自分で解決するのはなかなか難しいと思いますので、弁護士に相談して下さい。

<回答者>
大阪弁護士会 髙橋 敏信 弁護士

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