相続の基礎知識20項目

●相続の基礎知識

 無料電話相談でご相談を受けた経験からすると、不正確な知識が多く見受けられます。遺言相続に関する法律知識をすべて説明するのは無理ですが、最初から知っていた方がいいと思われる20の基礎知識につき、簡単に説明します(ただし、インターネット上での正確な情報提供には限界がありますので、詳しくは弁護士にご相談下さい)。

あ行
遺言 遺言とは、自分の死後における財産などのことについての言い残しですが、法律で決められた方式で行う必要があり、かつ法律で決められたこと以外には効力がありません。遺言には、大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
遺言能力 遺言者には、誰に何を相続させるかという遺言の内容を判断できる状態が必要で、これを遺言能力といい、これを欠く状態で作成された遺言は無効となります(民法第963条)。
遺言信託 遺言信託とは、受託者に遺産を預けて運用させ、その利益を受益者に還元するものですが、実際には、信託銀行が相続に関して行う業務は広く「遺言信託」と呼ばれています。
遺言執行者 遺言執行者とは、相続開始後に遺言の内容を実現(執行)するための人です。特定の財産を「相続させる」という内容の遺言では遺言執行者は不要ですが、紛争が予想される場合や遺贈の場合には、遺言執行者を選任しておくべきです。
遺産分割 遺産分割とは、相続財産について、誰がどの財産を相続するかを具体的に決める手続です。相続人同士で行うものが遺産分割協議ですが、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所での遺産分割調停、遺産分割審判へと進みます(民法第907条)。
遺贈 遺贈とは、遺言で遺産の全部または一部を処分することで、相手は相続人でもそうでなくてもかまいません。遺産の全部または一定割合で贈与する場合は包括遺贈、特定の財産を与える場合は特定遺贈と呼ばれます(民法第964条)。
遺留分 兄弟姉妹及びその子以外の法定相続人に対して認められた、被相続人の意思によっても奪えない相続分のことです。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は1/3、それ以外の場合は1/2です(民法第1028条)。遺贈や生前贈与で遺留分を侵害された場合には、遺留分減殺請求権を行使できます(民法第1031条)。
か行
基礎控除 相続税の税額を計算する際に、最初から非課税とされる枠のことです。平成26年12月31日までに相続が開始した場合には5000万円と1000万円に法定相続人数をかけたものの合計額とされていましたが、平成27年1月1日の相続からは、これが3000万円と600万円に法定相続人数をかけた合計額に引き下げられる予定です(相続税法第15条)。これによって、これまで相続税が課税されなかった4000万円〜7000万円程度の相続にも相続税が課税されるようになるでしょう。
寄与分 寄与分とは、法定相続人が相続財産の維持や増加に貢献した場合に、これを考慮して、その相続人に、貢献の内容を加味して相続させる制度です(民法第904条の2)。ただし、法律上の要件は「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」とされ、かなり厳格に運用されています。
検認 公正証書遺言を除くすべての遺言書については、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認の手続を受ける必要があります(民法第1004条)。これは、遺言書の存在を相続人に知らせ、内容を確認するための手続です。少し時間がかかりますから、公正証書以外の遺言書を見つけたときはすぐに、開封せずに検認手続を採って下さい。
公正証書遺言 公正証書遺言は、公証役場の公証人が法律で定められた方式にしたがって作成する遺言書のことです(民法第969条)。遺言書の原本は公証役場で保管され、相続人も公証役場で遺言の有無を確認できますから、紛失・偽造・隠匿等を防ぐことができます。
さ行
自筆証書遺言 遺言者が遺言の全文・日付・氏名を自筆で書き、捺印して作る遺言書です。1人で遺言書を作成するため法定の要件を欠いて無効となる可能性や、遺言者死亡後に紛失・偽造・隠匿等のおそれもあります。
生前贈与 被相続人が、相続人やその他の者に対して、生前に財産を贈与することをいいます。もちろん自分の財産をどのように処分しようと自由ですが、相続が開始した後になって特別受益とみなされたり、遺留分減殺の算定根拠に含まれてしまうことがありますので、相続対策としては事前に影響を確認しておくことが必要です。
相続債務 保証債務や住宅ローンなど、死亡時に被相続人が負っている負の財産です。相続債務は法定相続人に、その法定相続分どおりに分割されて受け継がれます。相続人間で合意しても、それを債権者に無理強いすることはできません。
相続税 相続税は、相続や遺贈によって財産を取得した個人に課される税金で、原則として相続開始後10カ月以内に申告・納付する必要があります。ただし、未分割として申告しておき、遺産分割ができてから修正申告する方法もあります。
相続放棄 被相続人が亡くなったことを知ってから3カ月以内に相続人が相続放棄の手続をすれば、被相続人の遺産も債務も受け継ぎません。相続放棄の手続は、家庭裁判所への申述によって行います(民法第939条)。相続放棄申述前に遺産を処分したり相続債務を弁済すると相続放棄が認められなくなることがありますので、ご注意下さい。
た行
特別受益 被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは生計の資本として贈与を受けた法定相続人については、公平を図るために具体的な相続分が減らされることがあり、これを特別受益と呼んでいます(民法第903条)。ただし、何が特別受益にあたるかは、被相続人の経済状態、遺産総額、贈与の金額などを考慮して決められ、簡単に認められるわけではありません。
は行
法定相続人 被相続人の子と配偶者は常に相続人になります。被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に子がいない場合で、かつ直系尊属がいない場合にのみ相続人になります。また、兄弟姉妹には一代に限り代襲相続も認められます。このように、法律上、相続人になる者が法定相続人です。
法定相続分 遺言で相続分を指定していない場合に、法定相続人に一応認められる相続分のことです。詳細は省略しますが、遺産分割の結果、必ず法定相続分どおりに分割されるという保証はありません。なお、平成25年9月4日の最高裁決定により、非嫡出子の相続分は嫡出子と同じになりました。
や行
預貯金の払戻し 相続が開始すると、本来、法定相続人は法定相続分の割合で預貯金を相続します(これを可分債権の当然分割といいます)。しかし、銀行等の金融機関は相続人全員の同意を得ないと解約払戻しに応じないことが多いので、便宜上、遺産分割協議や調停の対象とされることが少なくありません。

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