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任意の取調べを受けている被疑者の「宿泊」

2017.05.17

警察などの捜査機関は,ある事件の被疑者(容疑者)を,すぐには逮捕せず,その前に任意で取調べ(事情聴取)をすることがあります。その場合に,警察が手配をして警察署近くのホテルに宿泊させ,逃げたり自殺したりしないように事実上監視をすることはできるでしょうか。これについては,ある有名な最高裁の判断があります。

マンションでの殺人事件で夜11時まで任意の取調べを受けていた被疑者Xを,警察は,自宅も警察署から近いのに,ホテルを予約して宿泊させました。警察官も何人かが同宿し,隣の部屋で様子を監視してもいます。被疑者は「旅館に泊まらせてほしい」という書類を警察に出していますが,どこまで本心かは不明です。宿泊は4泊続き,その間に被疑者は自白しました。4泊のうち3泊分の宿泊費は警察が負担しています。裁判で,Xは,このようにしてとられた自白は違法で証拠とできないと主張しました。最高裁は,この取調べを「必ずしも妥当とはいえない」としました。5人の裁判官のうち2人は,違法ではないか,と指摘しています(最決昭和59年2月29日)。

別の事件で,東京高裁は,9泊10日にわたって警察が用意し厳重な監視がある宿泊先に泊めて行われた取調べの結果なされた自白は,違法で,証拠として使えないとしています(東京高決平成14年9月4日)。

例えば1泊させただけで違法な取調べとまではいえないかもしれません。しかし,逮捕以前の任意の取調べで,一般にはホテルを用意して泊めさせることは妥当ではないと考えられています。

最近,これを連想される事件の報道がありました。テレビのコメンテーターなどのコメントなどには,些か疑問に思えるものもあったように思います。

逮捕される前であっても,事情聴取などの前には,できるだけ弁護士に相談して下さい。冤罪といった悲劇を生まないためにも。

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